第145回鶴見大学図書館貴重書展
「華麗なる源氏絵-尾形月耕の才筆-」が、
平成29年1月27日(金)~2月28日(火)
鶴見大学図書館1階エントランスにて開催されています。
同図書館のHPはコチラ

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※高田信敬先生渾身の最新版解題(2017.02.04改訂)PDFはコチラ

開館時間
 平日8:50~20:00
 土曜8:50~18:00
 日曜・祝日 閉館
 ※1/27~2/3の平日のみ21:00まで開館

あわせて、2月22日(水)の14:00~15:00
高田信敬(鶴見大学文学部)教授による、
講演会「源氏絵素人談義」が開催されます。
(後援:紫式部学会・武蔵野書院)
申込不要・入場無料です。
直接会場の「鶴見大学図書館地下1階ホール」まで
お出かけください。

なお、同高田信敬先生より、
解題の最新版(1月30日改訂)が届きましたので、
前文と展示書目を以下に御紹介いたします!

やっとめぐりあえた源氏絵
 あけましておめでとう存じます。初春の展示を担当するようになって、もう10年以上となりますでしょうか。現在、日本の伝統文化や古典に関心が高まっていますのは、勿論結構な話ではありますけれど、底の浅い一過性の現象に終わらないためには、世間の流行からひとまず離れて、心静かに、そして楽しく書物と語らうことこそ望ましいかと思います。
 さて源氏物語研究所は、源氏物語とそれに開する良質の資料を収集し、書物に即した調査研究を行い、また広く皆様に公開することを、大きな仕事の柱としております。犀利を装った言説や高級そうな議論は、しばし人目を驚かすことがあっても、すぐに新手と交替していきます。研究所が古典籍収集に努力しますのは、確実に学問を支え、研究を進めるための基盤が、何より書物に求められるからです。しかし今回は、書物ではなく源氏絵のお披露目。いつもと少し趣向を変えまして、近代木版画の見事な達成をお目にかけることといたしました。我が国最高の古典に取り組んだ明治の絵師尾形月耕(1858~1920)の大判錦絵『源氏五十四帖』です。
 各巻1図全54枚に総外題を加えた55枚の揃いを、ずっと捜し統けておりましたが、なかなか市場に現れず、中野幸一博士のご所蔵品に羨望の涎を流すばかり。ところが昨年、保存状態の良い完揃いを関西の業者が持っているとわかり、めでたく図書館に人りました(価格は申し上げませんが、かなりのお買い得です)。憧れの佳人にやっと巡り会えた、と言うわけです。
 江戸の源氏絵も独自の味わいがあり、明治になってからもその流れを汲む浮世絵は刷られました。しかし月耕の作は、構図・色使い・細部の描写など、清新な造形感覚と高い技倆が随所に看取され、近代日本画の一分野として鑑賞に値するものです。調べてみますと当然粉本が存在し、それとの対比によって、参考とした資料から鮮やかに離陸する絵師の姿が浮かび上がるところ、『源氏五十四帖』には資料追求の醍醐味、研究のおもしろさもあります。ただし、これは学者の勝手な言い分でしょう。皆様にはとにかく展示を楽しんでいただきたく存じます。理屈抜きに、素晴らしいのですから。

平成丁酉青陽下浣日
源氏物語研究所


展示書目(◎は個人蔵)
I 典拠を捜す
 1 総外題 明治28年(1895)
 2 桐壺  明治25年(1892)「いとけなき初もとゆひに」
  (参考)給人源氏物語 桐壺 慶安3年(1650)跋 承応3年(1654)刊
 3 帚木  明治25年 「かすならぬふせやにおふる」
 4 若紫  明治25年 「手につみていつしかも見ん」
 5 花散里 明治25年 「たちはなの香をなつかしみ」
    (参考)十帖源氏 巻三 花散里 無刊記
 6 絵合  明治25年 「うきめ見しそのおりよりも」
  (参考)源氏物語給尽大意抄 天保8年(1837)和泉屋市兵衛刊
 7 胡蝶  明治25年 「花そのゝこてふをさへや」
 8 螢   明治25年 「声はせて身をのみこかす」
 9 藤裏葉 明治25年 「春日さすふちの裏葉の」
10 若菜下 明治26年(1893) 「タやみは道たとたとし」
  ◎(参考)源氏五十四帖絵尽 文化9年(1812)和泉屋市兵衛刊
Ⅱ 絵師の心意気
11 花宴  明治25年 「いつれそと露のやとりを」
12 須磨  明治25年 「うきめかるいせをのあまを」
  ◎(参考)源氏物語絵尽大意抄 天保8年(1837)和泉屋市兵衛刊
13 乙女  明治25年 「をとめ子が神さひぬらし」
  (参考)をさな源氏 二之下 乙女 寛文10年(1670)山本義兵衛刊
14 野分  明治25年 「風さはきむらくもまよふ」
15 梅枝  明治26年 「花のかはちりにし枝に」
16 横笛  明治26年 「よこふえのしらへはことに」
17 東屋  明治27年(1894) 「さしとむるむくらやしけき」
Ⅲ 物語の色調
18 朝顔  明治25年 「みしおりの霧わすられぬ」
19 夕霧  明治26年 「山さとのあわれをそふる」
20 椎本  明治26年 「たちよらむかけとたのみし」
21 早蕨  明治27年 「このはるはたれにか見せん」
  ◎(参考)雲母引き料紙刷りの早蕨
22 宿木  明治27年 「やとりきもおもひ出すは」
23 浮舟  明治28年(1895) 「たちはなのこしまの色は」
24 蜻蛉  明治27年 「ありと見て手にはとられす」
25 手習  明治28年か 「身をなけしなみたの川の」
        *「 」内に色紙形の和歌初・二句を表記通り翻字しました

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