貴重書展と特別講演会開催のお知らせです!

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上は、展示会ギャラリートークのポスター


あけましておめでとう存じます。
 毎年新春の貴重書展示は、吉例により源氏物語研究所が担当します。今回は総持学園創立90周年記念事業の最後に位置する催しです。あわせて講演会も行うこととなりました(講師の苦吟が目に見えるようです)。見事掉尾を飾ることが出来ますかどうか、是非お確かめください。

 さて、展示のたびごとにしつこく申し上げております通り、当研究所の最大の仕事は、『源氏物語』とそれに関連する分野について質のよい古典籍を収集し、書物に即した的確で実証的な調査を行うことにあります。華やかな現代的言説や犀利を装った片仮名言葉満載の議論は、所詮根無し草、すぐに次の流行に取って代わられ、「流行りものは廃りもの」の平凡な哲理を納得させられることになるでしょう。

 国文学といういささか古風な学問が、研究者の外側に厳然として存在する作品を相手にする以上、思弁や図式化ではどうにもならず、資料すなわち書物と向き合う素朴な方法こそ最も生産的であると言うところに結局落ち着くでしょう。したがって、限られた予算を最大限有効に活用し、目録を眺め回し古書肆を訪ね、検討を重ねて書物を集めます。その結果、学界のみならず一般にもよく知られる優秀な貴重書コレクションが形成されました。

 さて展示では、『源氏物語』の中からさまざまな旅を取り上げます。紫式部に限らず当時の女流作家たちは、ほとんど地方官の家柄出身であり、親や兄弟は遠近都鄙の行政に豊富な経験を持っていました。彼女ら自身、国司の配偶者となり夫の仕事を助けた人も少なくありません。御簾垂れ込めた部屋の奥に住まい、なかなか外出しない平安時代の女性、と思われがちですが、京都近郊に出かけることも、当時はちょっとした旅行だったでしょうし、物詣で・家族の地方赴任など、結構遠出の機会は多くありました。

 そんなことを考えながら、書物を選び解題を書き、『源氏物語』の多面性に改めて気付かされた次第です。
では、ごゆっくりとお楽しみください。

平成乙未青陽下浣
源氏物語研究所

*立案・解題は高田の担当です。ご意見・ご感想など、是非お聞かせ下さい。また、図書館の典籍のみでは足りない箇所に個人蔵の資料を提供していただきました。ご協力に感謝します。

第139回貴重書展
「旅の源氏物語」
【会期】 平成27年1月22日(木)~2月14日(土)
【会場】 鶴見大学図書館1階エントランス
【開館時間】 平日 8:50~20:00・土曜 8:50~18:00・日曜・祝日 閉館

旅の源氏物語(*=個人蔵)展示目録
I 洛外の名所
  1 蒔絵箪笥入源氏物語 夕顔 江戸時代前期写───列帖装54冊
  2 源氏物語絵巻 若紫 天保2年(1831)幽遠斎画───巻子本3軸
 *3 源氏物語絵 野の宮を訪れる光源氏 江戸時代初期制作───軸装1幅
  4 源氏物語提要 巻4 行幸 江戸時代後期写───袋綴6冊
  (参考)絵入源氏物語 行幸 慶安3年(1650)跋 承応3年(1654)刊───袋綴60冊
  5 十帖源氏 夢浮橋 万治4年(1661)刊 江戸時代前期刷───袋綴10冊
Ⅱ 宇治の風景
  6 源氏物語 橋姫 帚木・夕顔・松風・浮舟欠 江戸時代前期写───列帖装50冊
  (参考)都名所図会 巻5前朱雀 林芳兵衛刊 江戸時代後期刷───袋綴6冊
  7 花鳥余情 第25宇治巻の内 椎本 江戸時代後期写───袋綴10冊
  8 絵入源氏物語 小型本 総角 江戸時代前期刊───袋綴30冊
 *9 源氏五十四帖 尾形月耕画 早蕨 明治25年(1892)横山良八刊───1枚
  10 源氏物語 古活字版 東屋 寛永(1624~1644)頃刊───袋綴54冊
  11 源氏物語絵 浮舟と匂宮と鷺 室町時代後期写─── 軸装1幅
Ⅲ 近国の旅
 *12 源氏物語断簡 伝冷泉為相筆 関屋 鎌倉時代後期写───台紙貼1葉
  13 源氏物語 伝冷泉為相筆 須磨 鎌倉時代末期写───列帖装1冊
  14 源氏物語 奈良絵本 明石 江戸時代前期写───列帖装1冊
  15 源氏物語 未装幀零本 澪標 伝交野時久筆 江戸時代前期写───仮綴1冊
  16 源氏大鏡 第3冊の内 玉鬘 江戸時代前期写───列帖装4冊
IV 鄙の往還
  17 源氏物語 零本2冊の内 夕顔 江戸時代初期写───袋綴2冊
  18 源氏物語 龍文刷題簽 須磨 江戸時代前期写───列帖装54冊
  19 源氏小銃 玉鬘 明暦3年(1657)安田十兵衛刊───袋綴3冊
  20 絵入源氏物語 横本 手習 万治3年(1660)林和泉掾刊───袋綴29冊
 

特別講演会・ギャラリートーク
「受領下向-西国の例」
【講師】 高田信敬 (鶴見大学文学部教授)
【日時】 平成27年2月7日(土) 14:00~15:30
【会場】 鶴見大学図書館地下1階ホール
      ※参加費無料・事前申込不要
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